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会いにゆきます

 じゃあ、国内では本が出版される予定はないのか? って言えば、そうでもなくて、とりあえず一冊は出すことができるはずです。2018年に書いたんですが、発刊はあるいは2020年とかになってしまうかもしれません。
                                                                    
  これはちょっと読者の方たちにはサプライズとなるかもしれません。「ええっ、こんな小説を書いたの?」って思うかも。びっくりされると思います。ぼく自身まったくこのような小説を書くとは思っていなかったのでかなり驚いています。なんで思い付かなかったんだろう? って。
 
  編集者さんが「この映画すごくいいですよ」ってもってきてくれたスウェーデンのコメディードラマがすべての始まりでした。この主人公誰かに似ている...、と思ったら、もうそこからはすらすらと筋が出来上がって、あとは例によって自動書記状態。まるで、ずっとぼくの中にあって書かれるのを辛抱強く待っていたみたいな。
 
  書き上げてみたら、これはもう「市川ワールド」のマスターピースだろう、って、そんなふうにしか思えなくなりました。
  いわゆる「物語小説」という意味では、「MM」からすでにまる二年が経ってしまい、そこからさらに長い時間が掛かるだろうとは思いますが、どうか待っていて下さいね。かならずみなさんに会いにゆきますから。

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本が売れない、出版されない、その先...

 本が売れないどころか出版さえされないというのは、いまのこの国の多くの作家さんたちが抱える深刻な問題だと思います。出版界はもうそのぐらい大変なところまで来てしまっているんですね。書店さんもそうです。どんどんとまわりの本屋さんが消えていく。寂しいかぎりです。
                                                                                                                                                                                       
 それでもぼくが小説を書き続けるのは、物語には世界を変える力があると信じているからです。世界最大のベストセラーである聖書なんかまさにそうですね。ひとりでは無理でも、みんなが手を携えて世界が優しくなるような物語を紡いでいけば──「国境なき作家団」のようなネットワークをつくって、寛容や協調、非暴力の物語を語り続けてゆけば、少しは未来をよくすることが出来るかもしれない。外罰的、排他的、暴力的物語があふれ返っているこの世界になんとか歯止めを掛けたい。バランサーとしての物語ですね。
                                                                                                                                                                                      
 こんなことを誰かと会うたびに訴え続けてきました。たいていは軽く流されます。かなり誇大妄想的ですから煙たがられることもあります。でも、共感してくれるひとたちもいて、それが少しずつ広がっています。世界中に。
 いまのこの世界の状況は一国でどうなるものではないので、ネットワークも星を覆うものでなくてはいけなません。なので、せっせといろんな国のひとたちを巻き込もうとしています。
                                                                                                                                                                                       
 今年もずっと海外との交流を続けています。
 春先には、インドの創作カレッジの生徒さんたちとスカイプをつかってビブリオトークをしました。彼らは「BE WITH YOU」を教科書につかってくれていたんですね。このときはアメリカとインド、日本の三ヶ国でトークをしたので、ちょっと不思議な感じでした。先生たちとも交流が出来て、もし「世界を優しくするための物語」が出版されたら、インドでも広めてくれるようお願いしました。彼らはプロの創作者でもあるので。
                                                                                                                                                                                      
 四月には「いま、会いにゆきます」の韓国版が日本で公開になって、監督さん一家が日本にいらっしゃいました。すっかり意気投合して、今度は我が家に遊びに来ていただく約束をしました。いつか「世界を優しくするための物語」を監督にお願いできたら、と思っています。とても優しい方なので。
                                                                                                                                                                                        
 これと平行してフランス国営放送のジャーナリストの方とずっといろいろ企画を相談しています。ヨーロッパの作家さんたちとも、なんとかしてネットワークを結びたいと考えています。
 秋には、この運動のサンプルのようなものをヨーロッパでリリースできるかもしれません。まずはそこからですね。ノーベル平和賞の受賞者とかいろんなひとたちに送ってみようと思ってます。まったくもって非常識かつ無謀な行為ですが、ぼく自身がとことん非常識かつ無謀な人間なので、こういうのは得意です。
 なんでもそうですが、なにかを手掛けると一番天辺に向かって進もうとする習性がぼくにはあります。二十代のとき、初めて小説を書いて、いきなりハリウッドでの映画化を願いましたから。そしたらほんとにオファーをもらったんだから、なんだって願えば叶うと思い込んじゃいますよね。思い込みこそ人生を切り開く最強のエンジンです。

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国境なき少年少女団

 

 いま勘定してみたら、未発表のままになっている小説が五本になってました。現在、六本目を手掛けていますが、これもいまのところ国内で出版される予定はありません。
 すっかり鳴りをひそめているので、なんの執筆もせずにグータラしてたように思われるかもしれませんが、ここ数年もそれまでと変わらない(もしかしたらそれ以上の)ペースで書き続けています。
 このうちの二本は、もとが1500枚ぐらいある長編なので、なんやかやで全部合わせると手元に4000枚以上の原稿が溜まっている計算になります。けっこう書いたなあ...。
 こうなると「作家」というのは職業ではなく、ぼくという人間の基本的な属性みたいなものなのかも、と思ったりもします。本能が「物語を紡げ!」と叫んでる。
 同時に「モノづくり」にもせっせとはげんでいます。これも本能。根っこは一緒なのかもしれません。
 最近はギリシャのサントリーニ島のような真っ白な街並みをステンレスの球が転がっていくおもちゃをつくりました。
どこかの小説に書いたはずなんですが、どの小説だったか忘れてしまいました。まあとにかく、小説に書いた造作物はとりあえずつくってみる。そんな感じです。
 「MM」あらため「永遠に解けないパズル」の中にも書きましたが、「国境なき少年少女団」、あるいは「国境なき作家団」みたいなフレーズがずっと頭のなかにあって、なにかその方向で自分にできることはないか、といろいろずっと模索しています。書き溜めた小説も、多くがそのための物語だったりします。
「世界の優しさの総和を少しでも増やしたい」。子供たちの未来のためになにができるのか。物語を紡ぐのがとくいならば、それを精一杯やってみる。グレタ・トゥーンベリさんがやっている金曜日デモみたいのもすごくいい。グリーン・ニューディールとか、いろんな活動がある。作家は小説でそれをやる。
 
 「永遠に解けないパズル」の帯にも書かれているフレーズですが、ぼくのお気に入りの場面。
 ──青い惑星は音もなく回転し、やがて東の空から夜がやってくる。ぼくらは光と闇のはざまで愛を誓い合った。
 十五の愛は、あまりに幼いものだけど、それでもぼくらは真剣だった。ふたりは、ふたりにしか出来ないやり方で互いを見つけ出した。新しい恋を発明し、その関係式を胸に刻み込んだ。
 じゅうぶんに強くあれば、とぼくは思った。運命にだって打ち勝てるはず。
 そうだろ?
 
 みんながじゅうぶんに強くあれば、この世界の運命にも打ち勝てるはず。そう思いたいです。

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「永遠に解けないパズル」

Mm  

「永遠に解けないパズル」

2017年に発刊された「MM」の文庫が発刊されました。

今日すでに書店に並んでいるとの報告も受けました。明日辺りかなりの書店さんに並ぶんじゃないかと思います。

誰も病気にならないし、ファンタジックな設定もない、ド直球の青春小説です。見本が来たので読み返してみたんだけど、なんか書いているとき異常なほどハイになっていて、その感じが文章からバシバシ伝わってきますね。言葉の曲芸飛行って感じ。ほんの数週間で一気に書き上げたことを憶えています。例によって自動書記状態だったので、いま読むと「どこの誰が書いたんだろう?」って思います。いつもながらほんと不思議。ぼくには書けない。

今回ブログ記事を書いたのが、実に一年半ぶり。前作「私小説」が出てから、もうそんなに経つんですね。

まったく新作が出ていない! いわゆる「小説」となると「MM」が最後ですから、ずいぶん前になる。でも、引退したわけじゃないですからね。ほぼずっと原稿は書き続けている。その辺のことは、また明日にでも書きます。ほとんどこの記事を読む人もないとは思うけど。

とりあえずは、発刊のご報告まで。

 

 

 

 

 

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