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続きです

 すぐに続きを書こうと思っていたのですが――

 脳の過剰な興奮がもたらすのは、心身症だけでなく、感情の亢進もあります。

 むしろ、そっちのほうがやっかいなのかも。
 理不尽なまでの不安。理屈ではわかっていても、どうしてもその不安をぬぐい去ることが出来ない。

 まあ、だからこそ、それを不安神経「症」と呼ぶんでしょうけど。

 夢と同じで、まず最初に感情ありきなんですね。不安がある。そして、脳は、それに見合う対象を見つける。

 日々の生活の質を下げてしまうのは、むしろこっちなのかもしれない。行動を著しく制限する。

 興味深いことに、同じことでも、まったく不安に感じないときもある。自分が不感症になっている、と感じる。

 こういったとき、脳の神経伝達量は落ち着いていて、感情の振り幅はとても小さくなっている。

 亢進がポジティブな方向に振れれば、「歓喜」があります。行ったり来たり。

 先日、人生でもっとも美しい夢を見た、と感じたことがありました。あとから思えば、もっと美しい夢はいくらでも見ているんだけど、これも「感情」が先にありき。度を超えた歓喜、至福感が先にあり、それに脳が物語を後付けした。

 近所の土手を歩いていると、その下に見渡す限りの雲海が広がっている。夢特有の失見当識ですね。あり得ない状況。でも、それを不思議に思わない。

 最初はうねる白い川の流れのようだったものが、やがてそれは鰯雲状に千々にちぎれていく。

 そのひとつひとつが、目映いばかりに輝いている。真っ白い光です。幾千、幾万もの魂がゆっくりと流れて行くのを見ているような気がする。

 ときおり、流星のように、流れの上を白い閃光が横切っていく。

 やがて、空が暗くなり、真っ黒い積乱雲が見る間に成長していく。雲の中には幾つもの光が走るのが見える。

 馬頭星雲のようだと感じる。あの雲に飲み込まれたら死んでしまうと思うが、おそろしいとは感じていない――

 ふと思うんだけど、こういうのって、脳神経の発火のメタファーなんじゃないですかね。光、光、光……


 

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 またずいぶんとあいだが空いてしまいました。

 三回続けて体調不良のことを書くっていうのもなんなんですが、けっきょくそれしかないので、またそのことを。まあ、なにかの参考になればということで。

 とにかく変です。こんな年はいままでなかった。だいたいGWも過ぎれば体調も安定してくるのに、今年はむしろ悪くなる一方で。

 異常気象? 大気汚染? もう、わけわかんないです。

 火曜日に出先で猛烈なめまいに襲われ、パニックに陥りました。首を少しでも動かすとぐらっとくる。
 三十分ぐらい椅子に座って症状が軽減するのを待ちました。それから奥さんに掴まって車までどうにか戻り、そこでまたしばらく休んでから、時間を掛けて家まで帰りました。奥さんにずっとツボを押してもらっていたので、それがある程度効いたような気もします。

 こういう強烈なめまいは、いままで100%就寝中に来ていたので、こんなのは初めてです。
 かなりショックでした。

 救急車を呼ぶようかな? とか、このまま気を失うのでは、とか考えると、それがまたパニックを引き起こし、貧血状態に。手あぶらびっしょり、動悸はしてくるわ、お腹は下しちゃうわで、弱り目に祟り目。

 二月から続いていた縦G系のめまいではなく、今度は回転系です。また元に戻った。胆経ですね。

 いわゆるトレードオフ状態。あれじゃなければこれ。

 同時に脇腹痛と胃痛、あと一年ぶりぐらいに復活した耳鳴りですね、これもある。24時間、すっとキーンと鳴り続けていてうるさいです。

 絵に描いたような胆経の症状。
 原穴や絡穴へ日に何度かお灸をしているんだけど、ここまで来ると、なかなか症状が軽減してくれない。

 だもんで、禁断の黄連に手を出してしまいました。使う量も倍に増やして。漢方精油なので経皮吸収です。

 これをやると、副交感神経の発作を起こして、突発性頻脈が来るんだけど、いまのところは無事。

 今回、どうも副交感神経アタックは消化器系へ向かっているようです。ずっとお腹下しっぱなし。

 まあ、いいんだけど。どうせ、どれかを選ばなければいけないんだから。

 心身症だけでなく、神経そのものも、なんか大騒ぎしている。

 いわゆる解放性幻聴もパターンを変えてきた。前にも書いたけど、ミュートしたオルゴールの音みたいだったのが、もっと長く尾を引くようになった。前のが0.5秒ぐらいだとすると、いまは1.5秒ぐらい。音質もよりクリアに。

 それに、例のマインドポップがまたかしましい。「1200マイルを2000回!」とかわけのわかんない言葉が、次々と頭に浮かんでくる。言語野の逆流現象なんですかね。だもんで、うるさくてしかない。耳鳴りもずっと響いているし。

 そんなのが続いていたら、昨夜は、意識の明度が一瞬にして上がる、という不気味な現象が。

 頭の中で自分がしゃべっていること――マインドポップではなく、いわゆる自分の考えですね。言語化された、整合性のある、意識の流れ。ぼくは一日中、ずっとこのおしゃべりを続けているんだけど(おそらくみんなも)、これがある瞬間、ふっと一気に明瞭になった。意識の明度が一気に上がった。

 ずっと50年一定だった流れが、一瞬にして変わった――
 こう書いても、なんかすごく遠い。あの現象を言語化することは不可能ですね。こういう意識の一瞬の変質は、どうであれ不気味なものです。おそらくは脳内神経伝達物質が過剰に流れたんだろうけど、あまりの不気味さに、パニック発作を起こしてしまいました。こんなの生まれて初めて。

 一分ぐらいでもとに戻ったんだけど、しばらくはおっかなびっくりで、そすると今度は強迫神経症みたいなやつが起こる。例の「意識していることを意識していること意識して...」ってやつ。

 昔は、これを純粋に心の問題だと捉えて、すごく悩んでいたんだけど、いまは、たんに脳の過剰興奮が引き起こしいる意識のチックみたいなものだと分かっているので、脳の興奮が治まればいずれは気にならなくなるだろうと軽く構えていたら、実際、いつのまにか忘れてました。

 毎日、新しいことが起こる。ふつうひとはこういう、脳の広範な現象の一部だけで生きている。フィルターやらブレーキやらがちゃんと働いて、現実がまったくぶれないようになっている。それで一生が終わる。

 だから、ぼくのはいわば臨死体験みたいなものです。とびきりの非常時だけに起こることが日常になってしまう。

 強烈な光と多幸感。また続きを書きます。

 
 
 

 

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