台風が来るまではけっこう上り調子で、原稿にも手を付けていたのですが、低気圧と気温低下で、また一気にやられていまいました。なんにしも安定感がないんですね、ちょっとしたことで大きく傾いてしまう。
胃を激しくやられ、また痩せてしまいました。夜になると眼窩の奥に眼球が入り込んで、えらくやつれ顔になってしまう。
胃を下にして眠れないので、つい「エレファントマン」のことを考えてしまいます。不便だなあって。
好きなように眠れて、とりあえずなにを食べても体調を壊さず、不安を感じることもなく電車やバスに乗れて、いまのところ体のどこにも痛みや苦しみがない―――じっと蹲って動けなくなるほどの―――であれば、けっこう実は幸せなんですけどね。そのことをみんな忘れがちですが。
むかし誰かのエッセイで目にしたんですが(五木寛之氏だったか野坂昭如氏だったか)、貧乏っていうのはその家に病人がいて初めて言うんだ、っていうのがあって、ほんとそうだと感じます。健康であれば、かなりの状況において、けっこう大丈夫だったりする。三十年も病人やってると、しみじみ思います。
うちの奥さんのまわりには気温が高いほうが体調がいいって人間ばかりが集まってきます。陰と陽。
なので、ここ数日の比較的涼しい日に、みんなそろってダウン。この一律な感じがすごいです。どんだけ似た人間が彼女に引きよせられているのか。
みんな体温が高く、はしかに掛かったことがない。風邪やインフルエンザとも無縁。なんだけど自律神経が...
気温が35度ぐらいになると、相対的にぼくらもそれほどしゃにむになって体温を上げる必要がなくなってくる。筋肉を緊張させ、肝臓をフル回転させ、そうやって体温をつくっているんだけど、それから少し解放される。なので楽になる。そんな気がするんですが。
先生からは暑さに弱いはずだって言われます。肌が異常に白く、骨から痩せている。これは寒冷地仕様なんですね。強い太陽光とは無縁で、体積と表面積の割合から言って、放熱効果が低い体型。
なんだけど、髪は中近東系のくるくるパーマだし、猫舌で、熱い風呂も大嫌い。完全に両極端なタイプがひとりの中に共存している。こう、遺伝子がコーヒーとクリームのようにとけ合うのではなく、かなり大ぶりなモザイク模様になっている感じ。存在自体が矛盾している。なので、いい感じの時がなかなか訪れない。
なんか究極の方法があるんではないのか? っていつも考えます。左薬指を三回左回りに回したら、すべての不調が消えちゃったとか、そんな感じの。